2011-09-05

「空海と密教美術」展

国宝「両界曼荼羅図」(西院曼荼羅)京都・胎蔵界


東京国立博物館で「空海と密教美術」展というとんでもない美術展が開催されている。

なんと展示物のほとんどが国宝または重要文化財という。密教美術の最高峰ばかりが集結したようなな凄まじい展示内容だ。

今までの人生でいろいろな展覧会を観てきたが、今回の「空海と密教美術」展は個人的には10年に一度有るか無いかの展示であると思う。

普段、仕事以外では、あまり日本に帰りたいとは思わないのだが、今回ばかりは、何らかの用事を無理やりに作ってでも日本へ帰ろうかと思わせてくれる。(-_-;)

実は仏教美術、とりわけ「密教美術」には格別の思い入れがある。

かなり昔の話だが、東京の大学を卒業し就職した会社での初めての勤務地が大阪であった。関西にはそれまで旅行でも行ったことはなかった。当時の僕は典型的な「西洋かぶれ」で、外国、とりわけヨーロッパのものは無条件にカッコよく、東洋、とりわけ日本のものは限りなくダサいという価値観をもっていた。(しかしアメリカだけは例外的にダサいと感じていたのは面白い。)

その考えがコペ転、もとい180度変わったのは、初めて京都へ行き、京都駅近くの東寺を訪れた時だった。密教美術の持つ淫靡というか、官能的なな美しさに完全に参ってしまった。そして、その中でも特に興味を引かれたのが、今回の美術展の目玉でもある国宝の両界曼荼羅図だった。その極彩色に彩られた神々の圧倒的な存在感に魅了されたのを今でもよく覚えている。個人的な東洋回帰の象徴として忘れられない作品となった。

ただ残念ながら、僕が観たのはポスターであって、本物ではなかった。しょうがないのでその場でその大きなポスターを購入。大阪に住んでいた2年間、それは僕の部屋に飾られていたのでした。その後もなかなか機会に恵まれず、これまで何百という曼荼羅図を観てきたにもかかわらず、未だに本物は観たことがない。(T_T) 畜生、死ぬまでには絶対観てやる。

大阪に住んでいた2年間は、週末の度に関西の仏閣めぐりに精を出すこととなり、ますます日本の仏教文化の美しさにはまっていった。三島由紀夫を濫読したのもこの頃で、自称アナーキーなロッカーは愛国青年へと変貌したのであった。若かったとはいえバランス感覚のなかった自分が情けなくはある。

驚いたことに、僕は日本に生まれた日本人でありながら、真の日本文化を知らなかったのだ。もちろん九州や東京に文化がない訳ではなく、ある意味最先端の日本がそこにはあるのだが、それはあくまでも欧米化したモダンな日本であって、伝統的な日本文化とは違っていたのだ。そう、京都へやってきて、「Oh、ワンダフル!」を連発する外国人観光客と僕の視点は全く同一であった。日本人であるにもかかわらず。

それは文字通りカルチャーショックとでもいうべきもので、当時「西洋かぶれ」だった僕の中に埋もれていた愛国心を呼び覚ますのに十分であった。生まれて初めて、日本人であることに自身と誇りを感じることができた。そういった感覚は、かなり時間が経過した現在でもまだ残っていて、自分の日本人としてのアイデンティティーの一部には関西の社寺の風景が広がっている。

「空海と密教美術」展は9月25日まで。

国宝「両界曼荼羅図」(西院曼荼羅)京都・東寺・金剛界

2011-07-25

アドリアーナAdriana Calcanhotto の新作 「O Micróbio do Samba」

このところヘビロテで聴いているのがアドリア-ナ・カルカニョットの新作「O Micróbio do Samba(サンバの微生物)」。

マリーザ・モンチ Marisa Monteの「Universo ao Meu Redor」に触発されたのか、全曲アドリアーナ風のサンバチューンで固めています。

しかしこの人は何をやっても様になりますね。子供向けの「Adriana Partinpim」しかり。どんな材料でも彼女独自のスパイスを効かせて上手く調理してくるのは、やはり"才能"でしょう。女カエターノの異名は伊達じゃない。

歌詞を読んでいくと、いろんな女性たち(男性も少し)に向けた"愛の告白"のような内容で、ちょっと恥ずかしくなったりもする。

私生活では昨年、故Vinícius de Moraesa の娘で映画監督の Suzana de Moraes,との同姓婚を発表し世間を驚かせました。(彼女がゲイというのは知ってはいたけど、これには驚いた。しかもViniciusの娘って70歳だって!) ビデオを見る限り、往年のとんがった感じではなく、かなり丸く(女性らしく?)なった印象。幸せ太りかな?

公式サイトによると、大規模なツアーはまだのようだ。今年は久しぶりに彼女のライブを観てみたいと強く思うのでした。

1曲目の「Eu Vivo a Sorrir」


このアルバムで一番のお気に入り。「Mais Perfumado」

2011-07-18

なでしこJAPAN 優勝おめでとう!

サッカーの国、ここブラジルでは女子ワールドカップといえどもブラジル代表の試合と準決勝、決勝は地上波でも放送される。

昨日の女子ワールドカップ決勝、日本XアメリカをTV観戦。日本のサッカー史に残る名勝負だった。

我を忘れるとはまさにこのことで、日本の得点シーンでは近所に響き渡るような大声で絶叫している自分がいた。近所の人たちのほとんどは、同じ時間帯のコパ・アメリカ、ブラジルXパラグアイ戦を観ていたはずで、ブラジルの得点シーンでもないのに近所の誰かが絶叫しているのを奇異に思ったことだろう。

日本の優勝が決まった瞬間、年甲斐もなく泣きながら(もちろん絶叫しながら・・・)かみさんと抱き合って喜んだ。まさか女子サッカーで泣く羽目になるとは。試合前には全く想像すら出来なかった。それくらい感動的な試合展開、そしてフィナーレであった。

スポーツでこれほど感動したのは本当に久しぶり。日本代表女子チームには、心から「ありがとう」と言いたい。

日本女子のW杯優勝は、ブラジルの新聞でも大きく取り上げられた。

正直に告白すると、試合を観ていて一つのことが頭に浮かんだ。

アメリカの圧倒的な攻撃力を前に、たとえ点を取られても粘り強く耐えに耐え、数少ないチャンスをものにし、最終的にはアメリカに勝つ。何かに似ていないだろうか?

・・・そう、太平洋戦争だ。

あの戦争時代の多くの国民が、劣勢に絶えながらもこういう展開になり、いつかは神風が吹いてアメリカに勝つことを心の底から願っていたのではないだろうか。

圧倒的な兵力にものを言わせ、攻め続けるアメリカ軍。少しづつ退却しながらも粘り強く耐え、奇襲作戦に活路を見出さんとする日本軍。しかし戦争は殺すか殺されるかの真剣勝負。奇跡は起こらなかった。

おそらくこういったことが日本人のDNAの何処かに深く刻まれていて、それが今回の勝利で凄まじいカタルシスを我々日本人にもたらしたのではないか。

冷静になって考えると、アメリカ代表チームの戦力は日本代表チームのそれを遥かに凌駕していた。日本が勝負に勝ったのはまさに"奇跡"であった。そのことをきちんと認識し、今後強化していく必要がある。本当の実力が試されるのは来年のロンドン五輪なのだから。

アメリカ代表GKホープ・ソロ選手が「日本選手は何か試合より大きなもののためにプレーしている。難しい対戦相手」と語ったように、今大会の日本人選手たちは神がかっていた。もし今年3月の東日本大震災が起こっていなければ"奇跡"も起こらなかったのだと思う。

2011-07-07

ワインレッドの心 - 安全地帯 (Wine Red no Kokoro - Anzen Chitai)

もう20年以上も昔のことだが、安全地帯は「ワインレッドの心」を大ヒットさせ、特に女性に絶大な人気があった。当時、僕は高校生で、同級生の女子がキャーキャー言っているのを尻目に、「ちっ、ミーハー女め!男はやっぱパンクロックだぜ。」などと粋がっていた。確かに当時は、ストラングラーズなどブリティシュパンクに傾倒していた時期ではあったが、実際には彼らの音楽をちゃんと聴きもせず、"女子に人気=軟派"という単純な図式で拒否反応を示していたに過ぎなかった。いやはや、若さとは愚かさでもある。

そんな僕が安全地帯を聴き始めたのは、ブラジル人のかみさんと出会ってからだった。実は彼女が日本の音楽、とりわけ安全地帯の大ファンだったから。で、実際に色眼鏡をはずして聴いてみると、凄くカッコいい。ロマンチックな歌詞とメロディーライン、レベルの高い演奏、玉置浩二の甘い声、どれをとっても一流だ。20年以上も昔の楽曲でありながら、全く色褪せることがない。まるでボサノヴァのように。


最近の玉置浩二は、かなりお盛んなようで、芸能マスコミのネタになっている感もあるが、そんなことはどうでもいい。彼は燃えるような恋愛感情(情熱)を創作のエネルギーに換えていくタイプの人間なのだろう。大事なのは、彼が一度は芸術的に高いレベルに到達したとういこと。ある意味で、今の彼の人生は余生のようなものかもしれない。

2011-07-06

誕生日考

ブラジル人にとって、誕生日は特別な日だ。

クリスマスと並ぶ年間最大の行事であり、「誕生日おめでとう!」の言葉はもちろん、その言葉を証明するために、ここぞとばかりにお金とエネルギーを投入しなくてはならない。特に親しい間柄ではフラワーギフトに高価なプレゼント、レストランでの食事、などは必須。それは子供だけでなく大人であっても、結婚して何年経とうが決して変わることはない。

また、親戚のおじやおば、いとこ、甥や姪などからも頻繁に招待状が届く。これに友人関係や職場の同僚なども合わせると、ほぼ毎週のように誰かの誕生日ということになる。全部はとてもこなせるものではないが、それでも時々はフェスタにいくことになる。呼ばれたからには手ぶらではなく、何らかのプレゼントを持参しなくてはならない。他人へのプレゼントを選ぶというのは結構難しい作業で、ショッピングモールへ行っては毎回頭を悩ませる羽目になる。

もちろん祝ったり祝ってもらったりというのは気持ちのいいものではある。自分の誕生日に大勢の人に祝ってもらったり、沢山のプレゼントをもらったり、なんてことは日本ではもうあまり一般的ではないだろう。(もしかして僕の周りだけ?)

昨日はかみさんの誕生日だった。
今年はシンプルに蘭と薔薇とケーキでお祝い。

日本に住んでいたときは、とりわけ成人してからは、誕生日なんて何も特別な感情はなく、また一つ年を取っちまったなー、ぐらいのものだった。だから誕生日を祝ったり祝ってもらったりすることがあっても、せいぜい近親者の間でのささやかなプレゼントか食事がいいところだ。例外は恋人がいる時だが、それも恋愛感情を燃え上がらせる特別なイベントの一つとして誕生日を利用していたような気がする。


お昼は新寿司で
どっちが良いのかと言われると、自分には日本式の近親者だけの簡素な誕生日の方が性にあっている。祭り事に血道をあげるその時間とエネルギーを、もっと有効に使えたら… といつも思う。でも、まぁ「郷に入れば郷に従え」という言葉の通り、ブラジルで生きていくための方便として割り切っていくしかないのだろう。ブラジルに住み始めて6年になるが、まだ慣れないことの一つである。

リベルダージでお買い物

2011-07-04

日本サッカーの未来

昨日は、ブラジル代表戦が3試合もあるという珍しい日だった。女子W杯のマルタの大活躍、コパ・アメリカでのセレソン(A代表)のあまりに不甲斐ない試合に続いて、U-17のブラジルX日本戦をTVで観戦した。

ブラジルが勝つのは当然として、一体何点差で勝つのか、まぁ 3点差以内で終ってくれたらいい方だろうなどと思っていた。日本人だから一応日本を応援するけどね、なんて。

しかし、そんな考えは試合が始まるやいなや吹っ飛んでしまった。
なんやこいつら、上手いやん! Jリーグや日本代表の鈍臭いサッカーしか知らない僕は思わず唸っていた。特にワンタッチパスやヒールパスを当たり前のように多用し、あのブラジルと堂々と渡り合っているではないか。やはりレベルの高いプレーは観るものを魅了し、感動させる。後半に入ると我を忘れて日本を応援する自分がいた。


結果は3―2でブラジルが地力の違いをみせ勝ったものの、日本もいい戦いをしてくれた。正直、今までのどの日本代表より上手くかつ力強いサッカーを見せてくれた。本当の意味でブラジルと互角に戦えたのは、僕が知っている限り歴史上初めての快挙だ。

昔も今もブラジル国内リーグとJリーグの圧倒的な力の差は変わっていない。しかしこの世代がJリーグやA代表の中心となったときに、世界とどういった戦いをしてくれるのか、今から楽しみである。(2014年のブラジルW杯には間に合わないかな。。。)

2011-07-01

不動産バブル?

ブラジルは今不動産ブームだ。僕の住むサンパウロ州内陸部のS市でも、高層アパート(ポルトガル語ではマンションのことをアパートと表現する。)や高級コンドミニアムが雨後の竹の子のように増えている。リーマンショックで一時的に暴落したものの、ブラジル経済と同じく立ち直りは早かった。僕が住み始めた6年前と比べると、値段は少なくとも2倍にはなっているのではないだろうか?


下は先日見学に行った物件。148㎡で広いベランダ付き。スイートが3つに広いキッチンとリビングにホームシアター、女中さん用の部屋まである。駐車場は3台まで余裕で駐車できる。これがR$680,000(3500万円)ほど。さすがに高いが、もし日本にあれば間違いなく億ションだろう。

裏側から撮影。この裏側に広いベランダがある。

特筆すべきは敷地内にプール、フィットネスジム、サウナ、イベントスペース、子供の遊び場などが併設されておりわざわざ外に出かけなくても快適に生活できる。ブラジルは治安が悪いのでこのような付加価値に人気が集まるのだ。値段は多少高くとも、安全には金をかけるという意識が高い。

2011-06-29

寒っ!!

昨日の朝は寒かった。今日の新聞によると、僕が住んでいる街の昨日の明け方の気温が摂氏3.20℃だったそうだ。これは正確な記録が残っている2002年以降では最低気温、つまりここ10年で最も低い気温だった訳だ。2000年の冬はもっと寒い日があったらしいが、何分正確な記録が残っていないので比較が出来ない!?とのこと。ブラジルは近年BRICSの一角として随分持ち上げられているけど、つい10年前まで正確な気温すら測定されていなかったとはびっくりだ。

いずれにせよ僕がブラジルに住み始めて以来、一番寒い日だったことは間違いない。
寒いのは嫌だなーなどと思っていると、埼玉県熊谷では39.80℃を記録したという。やっぱり寒いほう100倍がいいと思い直すのでした。

2011-06-27

ハッカーの芸術的センス

最近ブラジルの政府機関(IBGE)に侵入して話題を振りまいたハッカー集団。その彼らがメッセージと共に残したのが下の画像。


ブラジルの国旗をモチーフに「ブラジル政府は彼らの目(頭脳)によって破られた」とのメッセージが読み取れる。しかしハッキングの是非はともかく、僕が感心したのはその芸術的センス。「カッコいい!」と思わず唸ってしまった。

ブラジル人は国旗をモチーフにしたものを好む。ブラジル人であればブラジル国旗柄のTシャツを何枚かは持っているはずだ。(ちなみに僕も何枚かは…) あと企業のロゴにも国旗をモチーフにしたものが多い。

これは愛国心からというよりも、ブラジル国旗が絵的に洗練されている(カッコいい)ということだと思っている。それは日本のことを思えばよく分かる。日本の国旗を好むのは右翼のお兄さん達位ではないだろうか。
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